■アオキクリニック院長・二宮文乃先生プロフィール
1963年静岡県熱海市にアオキクリニックを開業。
30年以上にわたって、漢方によるアトピー性皮膚炎の治療を実践する
 漢方界では知らぬものはない大御所の皮膚科名医。また、80歳を過ぎて
 なお衰えない美貌と頭脳を持つスーパーウーマンでもある。
 著書に『季節と皮膚の病気』(ドクターフォーラム出版会)など。

Dr.二宮のコラム5 低体温症について

【第5回】低体温症について

 

最近は、幼稚園児や小学生に低体温症が増え

36度以下の子供が多いとの調査があります。

低体温児は起立性調節障害が起こりやすく

たちくらみや入浴時の気分の悪化が見られたり

疲れやすく、動悸が起こったり、顔色が悪かったりします。

また、乗り物酔いや朝具合が悪いなどで

正常な学校生活が送れない子供も多く見られます。

 

このように、多くの疾患や症状に関連する冷えを治すことは重要です。

一般的に抹消血行をよくするビタミンEを処方しますが、

日常生活で各自が注意すべきは先ず食事です。

寒い時期は温かいものを、暑い時は涼しくなるものを

というのが常識ですが、最近の生活では一年中

冷たい人工甘味飲料やビール、生野菜や果物を多く口にしている人が増えています。

まずはこれらの食生活を改め、季節に合った物を食べるようにします。

温性食物は、ショウガやニンニク、ネギやカボチャ、ニンジンなどの野菜のほか

ミカンやリンゴ、モモなどの果物類

そして、カレーやコショウ、トウガラシといったスパイス類が代表的。

逆に、トマトやキュウリ、ダイコンは涼性食物。

穀物類や海藻類も涼性食物なので、控えたほうがよいでしょう。

栄養のバランスを考えながら、食べ合わせましょう。

 

また、健康食品が多用されますが、状況に合わせて摂るべきです。

アロエは食べ過ぎると冷えて胃腸を悪くしますし

体の強い人が朝鮮人参を摂ると熱がたまるので

血圧が高くなったり鼻血が出たりします。

ドクダミ茶やハト麦茶などは、熱をさます作用があるので

冷え性の人には向きません。

 

体の内側から温めるのには食物ですが

外から関係するのは衣類です。

体を強く締め付けるものは血行が悪くなって体を冷やします。

その結果、生体反応が鈍くなるのでほどほどにし

保温効果のある下着を身につけましょう。

きついジーパンやミニスカートはやめ

下半身を冷やさない衣類の着用を心がけるべきです。

また、夏には十分に汗をかいたほうがよいのですが

建物の中の生活が多い昨今は難しい話でしょう。

特に運動をするよう心がけないと発汗しません。

皮膚を鍛える機会が少ないので乾布マサツや

入浴時の水浴びで、少々の寒冷では皮膚の表面が

寒邪を防げるようにしたいものです。

 

※寒邪とは、東洋医学の『六気(風・寒・暑・湿・燥・火)』のうち

寒さによって体調不良を引き起こす要因。

 

Dr.二宮のコラム4 皮膚と心身症

【第4回】皮膚と心身症

 

ストレスが多い現代、『心身症』という言葉をよくきかれると思います。

似たような言葉に『神経症』という言葉もありますが

この両者、実はまったく違うものです。

 

心身症の場合は各科領域で身体に症状が出るものであり

どこかの器官に症状があってそれが持続します。

これは、体質としての基盤がある上に

心理的や情動的な要素が加わって生じるものなのです。

 

一方の神経症は、精神症状が主体であり、

いろいろな症状が多発してあちこちに移動するのが特徴。

主に心因的な原因で破傷します。

 

心と身体の関連は、不安や怒りなどの感情がもとになり

身体に変化が起こったり、またその逆で、身体疾患のために

不安や抑うつ状態になったりと、お互いに影響しあっています。

 

皮膚に影響する心身症の代表的なものに

慢性じんましんや円形脱毛症

そしてアトピー性皮膚炎の一部などがあります。

今回はその中でも、比較的多い慢性じんましんについてお話します。

 

 

------- 慢性じんましんの例 -------

 

体格の良い元気そうな男の子が、一年位前から全身にじんましんが発生し

痒くてたまらない、という実例です。

それまでも、小児科や皮膚科で治療してきたらしいのですが

何をやってもよくならないということです。

私のところで検査してみても異常が見られず

抗ヒスタミン剤を内服し、注射をしたのですが

一日か二日でじんましんが再発してしまいます。

 

私は何か方法はないかと考え、じんましんの出る日、出ない日

また何時頃出てどの位で消えるのか、その前に何を食べたか

などを日記に書いて貰うことにしました。

 

二週間の日記では、食べ物とじんましんの関係は全くないようでした。

しかし、発生する時間帯は主に、夕方のようです。

どんな時に出るのか詳しく書くようにいった翌週になって

どうも算数の授業になると出るようなのです。

また、算数の成績がよくないので毎日塾へ通っているとのこと。

 

「君は算数がきらいなの? 算数の勉強の前になると

 じんましんが出るようだけど」

といったところ、本人も気づいたようでした。

「算数を勉強するんだ」と意識して心の持ち方をかえ

受容した時から、じんましんは発生しなくなりました。

Dr.二宮のコラム3 生活習慣

【第3回】お風呂と衣類と乾燥肌

 

乾燥が気になるこの季節ですが、少し体が温まると

痒みを訴える人も少なくありません。

特に、入浴後や就寝後が多い様子です。

このような場合、ご家庭では特に『食事』『下着』『入浴』の

『3つの生活習慣』を見直してみましょう。

 

 『食事』

 ・刺激の強いもの、チョコレート、とろろ芋、サバ、わさび等は避けましょう

 ・三食ともバランスの取れた食事を心がけましょう

 ・緑黄色野菜をとるように心がけましょう

 

 『下着』

 ・素肌につけるものは柔らかい木綿のものにしましょう

 ・シャツやブラウスを素肌に着る場合も、木綿のものを選びましょう

 ・洗濯は合成洗剤を使わず、石けんで洗い、よくすすぎましょう

  (更にお酢で中和すると尚よい)

 ・二、三日おきに着がえましょう

  (合成洗剤で洗った下着は皮膚の脂肪分をとりすぎるため余計ガサガサする)

 

 『入浴』

 ・少しぬるめのお湯にゆっくり入りましょう

 ・皮膚に水分を含ませるようなつもりで充分に時間をかけて入りましょう

 ・毎日身体を洗わないようにしましょう

 ・熱いお湯に入ると急に痒くなるので注意しましょう

 ・使う石けんは脂肪分をとりすぎない刺激の少ないものを用いましょう

 

入浴前にバージンオイルをうすくぬると、温まった時に不要な垢がとれ

しっとりした皮膚になります。

また、お風呂上り、皮膚が乾かないうちにクリームのような軟こうを

全身に塗っておきましょう。

 

また、最近ではほとんど見かけなくなりましたが、乾布マサツもおすすめです。

炎症と痒みが無い部分や治ってきた部分には、起床時や着替える前に

タオルなどで全身をマサツします。

 

血行がよくなるので、不要になった垢のような角質層がとれ

その上に軟こうを塗って綿の下着をつける習慣をつづければ

皮膚は滑らかになってきます。

 

Dr.二宮のコラム2 食事

【第2回】冬のお肌を丈夫で美しく保つ食事法

 
寒くなると皮膚の機能が低下して
汗や皮脂の分泌も減り気味になり乾いてきます。

密閉された室内では、
ダニ、ゴミ、カビなどの塵が舞って
空気の乾燥と相まってお肌はいよいよ乾き、
カサカサしたり、アレルゲンによって
痒くなったりするのです。

 

 

このような環境からお肌を守るには、
 ・動物性、植物性タンパク質をたっぷりとって
  栄養補給し寒さに抵抗できる細胞力をつける

・野菜などから効果的にビタミンを補給する
 ・植物油を毎日とる
 ・三度の食事をしっかり食べる
といった、内側からのケアが大切です。
 
なかでもビタミンA・B2・B6・C・D・E・Fといった

誰もが知っているビタミン類が不足すると

身体は代謝が悪くなる、乾燥しやすくなる、血液循環が
悪くなる、抵抗力が落ちるという状態に・・・。

その結果、小じわ、しみ、そばかす、肌荒れになったり
ハリや艶がなくなったりと、お肌は汚くなってしまいます。

 

これらのビタミン類は野菜だけでなく、色々なものに

含まれていますが、タンパク質とともに数種のものと
まんべんなく食べるのがよい食べ方です。

 

野菜の少ない時は海草を食べるといいでしょう。
海に囲まれている日本では、古来身近な食物であり
多くのミネラルを含む質の良いアルカリ性食品です。

特に肉好きの方は、その毒気を中和するためにも毎日、

少量でも海草を食べるのは大変良いことです。

また、カロリーの高い油脂は冬の身体には必要なもの。
体内ではつくられないので、外からとらねばなりません。
しかし、なるべく動物性ではなく植物性のものを使いましょう。
オリーブ油、コーン油、菜種油、シソ油、ごま油などの
不飽和脂肪酸は、毎日ある程度とるべきです。
常温でも液状の植物油は冬でも順調に分泌され、お肌の表面を
滑らかにしてくれますよ。

 

最後に食事内容もさることながら、
一日3回きちんと食べて、腹八分目にすること。
寝る3時間前には食べないこと。
なるべくうす味にして素材の味を楽しむように心がけること。
など食べ方にも気をつかってくださいね。

 

まずは正しい食習慣から。

身体の内側から丈夫で美しい肌を作りあげていきましょう!、

Dr.二宮のコラム1 冷え症

【第1回】冷え性に悩んでいませんか?

 

 世間ではスタイルの良さが讃えられるために、
 若い女性の貧血や、低血圧が問題になっていますが、
 それでも、食事療法とか予防法の話より
 スタイルの方が問題のようです。
 
 貧血や低血圧の人に冷え性が多いような気がするので、
 私は、外来を訪れる人々に
 生理痛は? お腹がはりませんか? 足は冷えませんか?
 などと尋ねると、
 相当数の人が冷え性で困ると答えます。

 

 冬の間は冷たくても、
 春、温かくなれば冷え性が治るのか
 ……と考えますが

生理不順や更年期、内外のストレスをはじめ、
 様々な病気が原因で冷え性を招いていることも
 多いようです。
 
 重要な病気が潜んでいる場合もあるので、
 単なる冷え性と自己判断せずに、
 注意して医師に診てもらいましょう。

冷え性の人というのは真夏でも冷えます。
 
 医学的には
 身体の末梢への血液循環が悪くなって
 そのために手足などが冷える
 ……と考えられますが、
 触ってみては冷たくないのに
 本人にとっては膝から下が
 水を浴びたように冷たい……とか。

腰から下半身が、
 いくら着ても冷える……とか訴えるのです。

 更年期障害の一症状だと思ってましたが、
 実際には十代、二十代の若い人たちにも
 同じような訴えがあるのに驚きます。
 
 では、誰でもなるか?というとそうでもなく、

 

 生理不順や更年期障害に伴う冷え性の場合は
 ホルモン注射でよくなることが多いのですが、
 内服や注射が体に合わない人には、
 漢方療法がよいと思います。