Dr.二宮のコラム5 低体温症について

【第5回】低体温症について

 

最近は、幼稚園児や小学生に低体温症が増え

36度以下の子供が多いとの調査があります。

低体温児は起立性調節障害が起こりやすく

たちくらみや入浴時の気分の悪化が見られたり

疲れやすく、動悸が起こったり、顔色が悪かったりします。

また、乗り物酔いや朝具合が悪いなどで

正常な学校生活が送れない子供も多く見られます。

 

このように、多くの疾患や症状に関連する冷えを治すことは重要です。

一般的に抹消血行をよくするビタミンEを処方しますが、

日常生活で各自が注意すべきは先ず食事です。

寒い時期は温かいものを、暑い時は涼しくなるものを

というのが常識ですが、最近の生活では一年中

冷たい人工甘味飲料やビール、生野菜や果物を多く口にしている人が増えています。

まずはこれらの食生活を改め、季節に合った物を食べるようにします。

温性食物は、ショウガやニンニク、ネギやカボチャ、ニンジンなどの野菜のほか

ミカンやリンゴ、モモなどの果物類

そして、カレーやコショウ、トウガラシといったスパイス類が代表的。

逆に、トマトやキュウリ、ダイコンは涼性食物。

穀物類や海藻類も涼性食物なので、控えたほうがよいでしょう。

栄養のバランスを考えながら、食べ合わせましょう。

 

また、健康食品が多用されますが、状況に合わせて摂るべきです。

アロエは食べ過ぎると冷えて胃腸を悪くしますし

体の強い人が朝鮮人参を摂ると熱がたまるので

血圧が高くなったり鼻血が出たりします。

ドクダミ茶やハト麦茶などは、熱をさます作用があるので

冷え性の人には向きません。

 

体の内側から温めるのには食物ですが

外から関係するのは衣類です。

体を強く締め付けるものは血行が悪くなって体を冷やします。

その結果、生体反応が鈍くなるのでほどほどにし

保温効果のある下着を身につけましょう。

きついジーパンやミニスカートはやめ

下半身を冷やさない衣類の着用を心がけるべきです。

また、夏には十分に汗をかいたほうがよいのですが

建物の中の生活が多い昨今は難しい話でしょう。

特に運動をするよう心がけないと発汗しません。

皮膚を鍛える機会が少ないので乾布マサツや

入浴時の水浴びで、少々の寒冷では皮膚の表面が

寒邪を防げるようにしたいものです。

 

※寒邪とは、東洋医学の『六気(風・寒・暑・湿・燥・火)』のうち

寒さによって体調不良を引き起こす要因。

 

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■アオキクリニック院長・二宮文乃先生プロフィール

 

1963年静岡県熱海市にアオキクリニックを開業。

30年以上にわたって、漢方によるアトピー性皮膚炎や皮膚トラブルの治療の

第一人者で漢方界では知らぬものはない大御所の皮膚科名医。

80歳を過ぎてなお衰えない美貌と頭脳を持つスーパーウーマンでもある。

著書に『季節と皮膚の病気』(ドクターフォーラム出版会)など。