Dr.二宮のコラム6 アトピー性皮膚炎(AD)と食事 その1

【第6回】アトピー性皮膚炎(AD)と食事 その1

 

人間の生活の中では、リズムが大切です。

そのリズムが崩れると病気になると言われています。

疾患の発生の時刻は、一日中均一ということはなく

それぞれにある時刻に偏っているのがよくみられます。

 

たとえば喘息は夜中の二時から三時に最も起こりやすく

アトピー性皮膚炎(AD)は夜九時頃から夜中にかけて痒みがひどくなります。

これらは、神経内分泌系のリズム、免疫系のリズムが影響しているといわれます。

この時間帯に、副腎皮質ホルモンは最も低くなるのです。

 

さらに、

好酸球数は夜中になると最高値を示し

これはADの炎症も盛んになることを示唆しています。

つまり、ちょうど布団に入って寝る時間と一致するのです。

 

では、ADの最も痒みを生ずる時間帯において

痒みを減らすにはどうすれば良いか?

医療的には、各個人に合った漢方薬などを処方し

患者さんの日常生活では衣類や洗剤に気をつけ

内側からは食事に配慮します。

 

慢性に経過する皮膚疾患は、その発症に素因が関係することが多く

ADも体質的素因に環境アレルゲンが誘因として加わり発症しますが

大部分の小児には胃腸虚弱がみられ、小食で元気がなく

疲れやすい、便通異常など消化機能の弱い子供が多く見られます。

成人の場合も、急性症状が消えてなくなった後

胃腸虚弱や風邪を引きやすいなど、体質的な虚弱として表面化します。

日本は高温多湿なので、体内に水分が溜まりやすく

飲み物が冷たすぎたり、大量に飲みすぎたりすると胃腸を壊しやすいので

注意が必要です。

可能な限り、添加物や農薬のない素材を入手して

各家庭でしっかり調理して、多くの種類のものを万遍なく食べるということと

更に三食のとり方を変えた方が良い結果が得られます。

 

次回は、食事の具体的内容と、三食それぞれの留意点をお届けします。

 

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■アオキクリニック院長・二宮文乃先生プロフィール

 

1963年静岡県熱海市にアオキクリニックを開業。

30年以上にわたって、漢方によるアトピー性皮膚炎や皮膚トラブルの治療の

第一人者で漢方界では知らぬものはない大御所の皮膚科名医。

80歳を過ぎてなお衰えない美貌と頭脳を持つスーパーウーマンでもある。

著書に『季節と皮膚の病気』(ドクターフォーラム出版会)など。