Dr.二宮のコラム7 アトピー性皮膚炎(AD)と食事 その2

 

前回、アトピー性皮膚炎(AD)は、夜九時頃から夜中にかけて

痒みがひどくなり、痒みを減らすためには、外側からは衣類や洗剤

内側からは食事に配慮するお話をしました。

 

今回は具体的に、三食の摂り方について注意点を述べたいと思います。

 

□朝食□

日中活動する人のエネルギー源は朝食にあるため

三食の中では最も比重を置くべきです。

朝10、昼8、夜6の割合のつもりでちょうど良いのです。

具体的には、

魚や肉の動物性蛋白質、豆類、海藻類

季節の野菜(淡色、濃色)、果物、植物油などを充分に摂ること。

 

□昼食□

朝食に次いで重要な食事であることを認識しましょう。

外食する場合も多く、菓子パンやおにぎりなどですませると

皮膚炎は改善しません。

肉や魚、炭水化物だけでなく、ヨーグルトや牛乳、果物や野菜など

栄養面を考え、バランスの取れた食事を心がけましょう。

栄養のある食事をしっかり摂れば、疲れも感じないですみます。

 

□夕食□

一日の仕事が終わると、つい多くのものを満腹まで食べてしまう習慣がみられます。

夕食時間が遅いと、就寝までの時間が短く、満腹状態で布団に入ると

痒みが出てきます。

喘息の場合も同様で、満腹のまま寝ると発作が起こると言われています。

夜中にかけての時間帯に好酸球がまし、痒みがひどくなるのは

食事が関連していると考えられます。

 

 

ADの人は朝起きられず、空腹感がなく朝食が食べられない例が多いのは

夕食の摂りすぎ、特に油脂類が多いと消化が遅くなるという悪循環を

繰り返すため、皮膚炎が改善しにくいのです。

冷える人が多いので、夕食時の冷たい果物や生野菜の多食は

避けた方が良いでしょう。

 

ADの人は冷え性の例がかなり多く、胃腸虚弱のためか過敏性腸炎もよくみられます。

いわゆる過敏性腸症候群(IBS)よりは症状は軽いのですが

軟便や便秘の訴えがあります。

IBSは心身症に属するといわれ、一般的には現代社会においてかなりの頻度でみられます。

多くの人は肉体労働より精神労働に従事する人で

職場その他のストレスが関与していると思われます。

ADの人も同様の傾向が見られ、ストレスにより胃腸症状と皮膚炎が発症します。

 

 

 

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■アオキクリニック院長・二宮文乃先生プロフィール

 

1963年静岡県熱海市にアオキクリニックを開業。

30年以上にわたって、漢方によるアトピー性皮膚炎や皮膚トラブルの治療の

第一人者で漢方界では知らぬものはない大御所の皮膚科名医。

80歳を過ぎてなお衰えない美貌と頭脳を持つスーパーウーマンでもある。

著書に『季節と皮膚の病気』(ドクターフォーラム出版会)など。