前回、アトピー性皮膚炎(AD)は、夜九時頃から夜中にかけて
痒みがひどくなり、痒みを減らすためには、外側からは衣類や洗剤
内側からは食事に配慮するお話をしました。
今回は具体的に、三食の摂り方について注意点を述べたいと思います。
□朝食□
日中活動する人のエネルギー源は朝食にあるため
三食の中では最も比重を置くべきです。
朝10、昼8、夜6の割合のつもりでちょうど良いのです。
具体的には、
魚や肉の動物性蛋白質、豆類、海藻類
季節の野菜(淡色、濃色)、果物、植物油などを充分に摂ること。
□昼食□
朝食に次いで重要な食事であることを認識しましょう。
外食する場合も多く、菓子パンやおにぎりなどですませると
皮膚炎は改善しません。
肉や魚、炭水化物だけでなく、ヨーグルトや牛乳、果物や野菜など
栄養面を考え、バランスの取れた食事を心がけましょう。
栄養のある食事をしっかり摂れば、疲れも感じないですみます。
□夕食□
一日の仕事が終わると、つい多くのものを満腹まで食べてしまう習慣がみられます。
夕食時間が遅いと、就寝までの時間が短く、満腹状態で布団に入ると
痒みが出てきます。
喘息の場合も同様で、満腹のまま寝ると発作が起こると言われています。
夜中にかけての時間帯に好酸球がまし、痒みがひどくなるのは
食事が関連していると考えられます。
ADの人は朝起きられず、空腹感がなく朝食が食べられない例が多いのは
夕食の摂りすぎ、特に油脂類が多いと消化が遅くなるという悪循環を
繰り返すため、皮膚炎が改善しにくいのです。
冷える人が多いので、夕食時の冷たい果物や生野菜の多食は
避けた方が良いでしょう。
ADの人は冷え性の例がかなり多く、胃腸虚弱のためか過敏性腸炎もよくみられます。
いわゆる過敏性腸症候群(IBS)よりは症状は軽いのですが
軟便や便秘の訴えがあります。
IBSは心身症に属するといわれ、一般的には現代社会においてかなりの頻度でみられます。
多くの人は肉体労働より精神労働に従事する人で
職場その他のストレスが関与していると思われます。
ADの人も同様の傾向が見られ、ストレスにより胃腸症状と皮膚炎が発症します。
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■アオキクリニック院長・二宮文乃先生プロフィール
1963年静岡県熱海市にアオキクリニックを開業。
30年以上にわたって、漢方によるアトピー性皮膚炎や皮膚トラブルの治療の
第一人者で漢方界では知らぬものはない大御所の皮膚科名医。
80歳を過ぎてなお衰えない美貌と頭脳を持つスーパーウーマンでもある。
著書に『季節と皮膚の病気』(ドクターフォーラム出版会)など。