Dr.二宮のコラム8 意外と知られていない紫外線の種類

春の訪れとともに陽光が強くなり、紫外線に弱い人は皮膚炎を発症します。

かつては夏の日光を予防すればよかったのが、今では二月三月でも

晴天の時は用心が必要です。

運転をする人にみられる右半面から頸すじにかけて紅く腫れた皮膚炎の方が

来院された時は、よもやと思いながらもUVテストを行っています。

このような方達の約80パーセントに過敏症がみられるので、春とはいっても

紫外線防御が必要となります。

 

地上に届く紫外線には、UVA(紫外線A波)と、

UVB(紫外線B波)の二種類あります。

UVAは地上に届く紫外線のほとんどを占め、エネルギーは弱いものの

皮膚の深くまで到達して、弾力繊維を破壊し、皮膚のハリをなくします。

一方のUVBは5パーセント足らずですが、エネルギーが強く

皮膚表面の細胞を損傷させ、やけどのような日焼けを起こします。

尚、UVCという、最も有害な紫外線もあるのですが、オゾン層で吸収されてしまうため

地上にはほとんど届きません。

 

 

UVAは五月がピークであり、UVBは八月がピークです。

この季節は正常な人でもUVを浴びれば黒くなります。

但し、生まれつきの遺伝的要素で黒くなる人、紅くなる人などの違いはあります。

 

最近、老人性色素斑(しみ)を気にする人がふえ、レーザー治療を望む方が

多くなり、高齢者でもお洒落が上手です。

UVはこの老人性色素斑を助長するので日光は避けたほうがよいのですが

この症状は、子供の時にどの位日に当たったか、ということによって決まるもの

なのです。0歳から15歳位迄の間、毎日日を浴びるような生活をしていた人に

20年から30年経って発症するもので、昨日、今日、日を浴びたからといっても

老人性色素斑にはなりません。

 

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■アオキクリニック院長・二宮文乃先生プロフィール

 

1963年静岡県熱海市にアオキクリニックを開業。

30年以上にわたって、漢方によるアトピー性皮膚炎や皮膚トラブルの治療の

第一人者で漢方界では知らぬものはない大御所の皮膚科名医。

80歳を過ぎてなお衰えない美貌と頭脳を持つスーパーウーマンでもある。

著書に『季節と皮膚の病気』(ドクターフォーラム出版会)など。