Dr.二宮のコラム12 夏のお肌は要注意! その1

皮膚トラブルの名医Dr.二宮の「キレイは一日にして成らず」

【第12回】夏のお肌は要注意! その1

 

夏といえば、輝く太陽のもと、海や山へと開放的な服装で出かける人が多くなり

日常生活で陽に当たることの少なくなかった人たちが急激に日光を浴びたための日焼けや

海水浴による皮膚炎などのトラブルを生じやすくなります。

予防のことをよく考えてから出かけることが必要です。

今回は、紫外線の怖さについてお話します。

 

生物には欠かせない紫外線ですが、当たりすぎれば害の方が多くなります。

夏休みを利用して短期間のバカンスを海辺で過ごす人が

時間を惜しんで午前、午後と日光浴や海水浴を楽しみ、身体中真っ赤に腫れ上がり

水疱を作って来院する例が多く見られます。

このようにやけどと同じ症状になり、時には命も危険となることもあります。

 

また、家庭用品や医薬品、食料品などに含まれている光感作物質を体の内外に保っている場合

陽を浴びるといわゆる日焼けよりひどい皮膚炎を起こします。

そんな経験がある人は自分の日常生活をよく見まわすべきです。

 

日焼けを繰り返すと、老化が早くなります。

長い間陽を浴びている人の皮膚は厚くなり、しわが深くなって、色黒でしみも目立ちます。

これは紫外線による皮膚の細胞破壊を防ごうとしてメラニンが多くなったり

角層が厚くなったり、もっと進むと真皮層までがやられて、回復しにくくなって変化し

老化してゆくのです。

海や山で若さの特権とばかり日光浴するのはよいのですが、二十代に入ったら要注意です。

 

1978年から94年の短期間に人間活動圏でオゾン層が減少しました。

オゾンが30パーセント減ると、UVA(紫外線A波)は約40倍地上に到達します。

地球が誕生以来46億年(?)、出来上がってきた大気圏の体系を

わずか10年そこそこで破壊するのは、人間の傲慢さです。

便利さを求める文明、頭の良い人が次々に多くのものを発明するからです。

アメリカとソ連の冷戦が終わってからは、かえって不安定さを増した世界状勢から

インド、パキスタンまでが原爆実験をし、さらに地球環境を破壊していきます。

 

大国主義の矛盾は、その行為が批判されながらも最終的には正当化されることが多く

その大国への仲間入りを果たしたいための実力行使としかいいようがありませんが

自らの首を絞めるような状況を私たちは歯ぎしりして見ていることしかできないのは

まことに残念なことです。

そしてさらに有害な紫外線の増加を来たすわけで、ひとりひとりが自らの身を守る

しかないということです。

 

------------------------------------------------------------------------------------

■アオキクリニック院長・二宮文乃先生プロフィール

 

1963年静岡県熱海市にアオキクリニックを開業。

30年以上にわたって、漢方によるアトピー性皮膚炎や皮膚トラブルの治療の

第一人者で漢方界では知らぬものはない大御所の皮膚科名医。

80歳を過ぎてなお衰えない美貌と頭脳を持つスーパーウーマンでもある。

著書に『季節と皮膚の病気』(ドクターフォーラム出版会)など。